「JIS90」「JIS2004」について


2004年にJIS漢字コードJIS X 0213:2004が制定されましたが、この中で、既に一般に広く浸透している文字の中の168文字の字形が変更されました。
この規格が登場する前のものが「JIS90」。新しくできた規格のものを「JIS2004」と読んでいます。
但し、「JIS90」は6,879字、「JIS2004」は11,233字ですが、「JIS90」の書体が「JIS2004」に対応しても文字数が増えるわけではありません。「収録文字の字形の変更に対応しました」という意味になります。
また、168文字全ての字形が変更されるわけではなく、書体の解釈により同じ字形の文字もあります。例えば小塚明朝では8文字が同じ字形ですが、A-OTFリュウミンでは35文字が同じ字形です。字形は書体により違うので確認が必要です。
書体名に「N」が付く場合は「JIS2004」の字形に対応した書体になります。
例えば
A-OTF リュウミン Pr6は「JIS90」の字形に対応した書体。
A-OTF リュウミン Pr6Nは「JIS2004」の字形に対応した書体。
但し、Adobe-Japan1-6対応書体は「JIS90」でも「JIS2004」でも両方の字形を収録しています。漢字変換する時に標準的にでる字形が「JIS90」準拠か「JIS2004」準拠かの違いになります。異なる字形を使いたい場合はIllustratorの字形パネルなどによって簡単に切り替えることができます。

JIS2004改定前のJIS90の例示字形は、戦後の日本で日常的に使われるようになった略字化のルールを、それほど馴染みのない難しい漢字にまで強引に適用したようなところがありました。これを改め、各文字を「康熙字典」由来の「印刷標準字体」、国語審議会で「正字」と認定された文字に揃えるよう改めたものがJIS2004の例示字形です。168文字の例示字形の多くが、それまで慣用的に使われていた字体から印刷標準字体に変更されました。JIS X 0213:2004による字形の変更には、略字や俗字として普及した文字をもう一度本来あるべき姿(=印刷標準字体)に戻そうという意味も持っています。

※「印刷標準字体」・・・「表外漢字字体表」で示された、印刷文章において標準とすべき字体(1,022文字)のことです。
※「字体」・・・図形文字の図形表現としての形状についての抽象的概念。
※「字形」・・・字体を、手書き、印字、画面表示などによって実際に図形として表現したもの。
つまり「字体は」文字の点画から成る骨組みであり、それを表記した文字の形が「字形になります」。


JIS2004で字形変更された168文字一覧

上段がJIS90、下段がJIS2004です。書体は小塚明朝です。